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<Podcastインタビュー>
平山雄一の「ライヴハウス虎の穴」

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カテゴリ:ライヴレポート( 222 )
ジン / アルカラ / GARI / The JFK / the storefront〈2009/02/18掲載〉
2009/01/29@Shibuya O-Crest
【LIVESTAR's CAMP Vol.22 -Special Edition-】


超個性的な主張を持つ5バンドによる極彩色のイベント

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 参加5バンドの音楽性はバラバラ。だが、それぞれに超個性的な主張を持つ。今夜は似たもの同士が集まるのではなく、各々の信じるスタイルをもって激突するイベントだ。これまで出会うことのなかったバンドたちが一同に会する奇跡。それはある意味、イベント・シーンの成熟を表わしている。このイベントがどんな盛り上がりを見せるのか。注目の開催となった。

 オープニング・アクトとして登場したのは、大阪からやってきたthe storefront。ステージ右に陣取る林(Vo.&G.)に向かって江本のドラムがやや斜めにセットされ、ベースの小原と3人のラインが作られている。竹内(G.&Cho.)は全体を見渡すように、やや内側を向いて左に立つ。すべてが歌に集約するポジショニングだ。音が出ると、まさにそのとおりのサウンドがフロアを覆う。オープニング・アクトという言葉以上の演奏のクオリティに、オーディエンスに緊張と期待が走った。

 竹内のテレキャスターが奏でる落ち着いたアルペジオに乗って、林が「2秒後」を歌い始める。いいメロディと、いい声だ。それをしっかり支える江本のドラムの音色が美しい。東京ではまだそれほど知られていないが、相当のポテンシャルを秘めたバンドだ。まずはじっくり林の歌を味わおう。曲のつなぎもカッコいい。バスドラの4つ打ちに林のコード・カッティング、さらに竹内のクセの強いギター・リフが絡んでくる。2曲目「8700」の歌の始まりのバックは、ドラムとベースのみ。これだけでも、the storefrontはバンド・アンサンブルにかなりのヴァリエーションを持っていることがわかる。

 「ありがとう。改めまして、the storefrontです。僕ら、なんで東京に来ているかというと、1月16日に初のミニ・アルバムを出しました。そのレコ発でまわってます。また2月にここでやりますので、気に入ったら観に来てください。ではそのアルバムから1曲」と「嘘の台詞とクラクション」を林が歌い始める。ポップな16ビートを、安定したドラムスとニュアンスたっぷりの小原のベースが膨らませる。歌詞を口ずさみながらリズムにアクセントを加える竹内のギターもいい。そしてすべては林の歌のために。その実力のほどが充分うかがえるパフォーマンスだった。
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 The JFKは、セッティングを見ているだけでにぎやかそうなバンド。BGMにはチープ・トリックの「サレンダー」など懐かしい歌ものロックが流れている。サウンドチェックでは、典型的なロックギター・フレーズの連発。古き良きロックを愛するリスナーたちが集まって結成されたバンドなのだろう。フロントの二人が持っているのは、ギブソンSGモデル。黒いSGが SENSHO1500(G.&Vo.)、赤いほうがキタシンイチ(G.&Vo.)。リズム・セクションはヒネ(B.&Vo.)とサイトーリュータ(Dr.)だ。派手なSEの中、メンバーは黒の皮ジャン、サングラス姿で登場。ハンドクラップしながら会場をアオって、そのままギター・ソロに突入。ありゃ、このフレーズはさっきサウンドチェックで練習してたやつだ。わかりやすいバンドだあ(笑)。ドッカーンと始まった「LIFT UP」は、英語の歌詞のバッドボーイズ・ロック。見事なオールドスクールっぷりだ。

 「最後までよろしく。愛の形はいっぱいあるぜ。『Shapes of love』!」と2曲目を紹介。ショーアップしたステージングに、観客は徐々に温度を上げていく。ヒネがヴォーカルを取る「It's so good」では、ツイン・リードギターが炸裂。音色のそろったSG2台の威力を見せ付ける。The JFKの絵に描いたようなハードロック・マナーに、思わず嬉しくなってしまう。相当のキャリアを持った4人なのだろう。

 「どうですか? 渋谷。オマエラおとなしいな。渋谷ロックキッズ、おりゃー!! 残り2曲。ここの天井ぶっ飛ばすくらい、あるいは地の底に落ちてくぐらい暴れろー!!」。「FILL ME」はいかにもレッド・ツェッペリンを下敷きにしたオリジナル。オーディエンスはすっかりThe JFKにシツケられて、ハンドクラップでバンドの熱演に応えている。ラストの「Good times」ではヒネのまねをして、会場全体がコブシを挙げる。大盛り上がりの中、ストレートに楽しい“ロックばか一代”のライヴが終わったのだった。
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 次のGARIで、会場の雰囲気がガラリと変わる。シンセドラムがセットされ、ベースのブースにはスタンディング・ベースが用意されている。ベーシストの髪は真っ赤だ。ギターもエフェクターをギッシリ並べて、スキンヘッド。しかもカールコードを2本垂らしたダブルネックを抱えているから、深海に棲む巨大タコを連想してしまう(失礼!)。長身のヴォーカルはと言えば、楽器は持たずにマイクの前に立っている。YOW-ROW(Vo.&Prog.)、獨古(G.)、藤本(B.)、日下部(Dr.)の4人は、それぞれに独特のオーラを放っているミュージシャンだ。

 ハイトーン・ヴォイスのYOW-ROWには、圧倒的な存在感がある。そこに打ち込みを駆使し、微妙なニュアンスと大きなパワーを与える演奏が加わる。絶妙なミックスなので、打ち込みとマニュアル・プレイの聴き分けが困難だ。が、そんなことには関係なく、ダンサブルなロックが文句なしにカッコいい。ハードな「F・A・M・E」に続く「WIPE OUT!」は、さらにハードな曲。途中、YOW-ROWが左手を水平に伸ばし、右手に持ったマイクを胸の心臓のあたりに当てる。轟音で鳴る打ち込みのキックの音が、彼の心音のように聴こえてくる。イマジナブルかつカッコいいパフォーマンスだ。高度に研ぎ澄まされたミクスチャー・サウンドに、フロアはモッシュ寸前までヒートアップ。この日のハイライトとなった「SPEEDMASTER Ⅱ」では一段と激しいキックにエキゾティックなメロディが絡み、YOW-ROWの額に汗で濡れた髪がへばりつく。スリリングなステージ運びだ。

 藤本はメロディアスな「materialism」でスタンディング・ベースに持ち替える。その綺麗なサウンドに会場から大きな拍手が起こった。再び5弦ベースに戻った「UNIVERSE∞」では、イントロに美しいコーラスが響き、獨古のコード・ストロークがキラキラと鳴る。彼のダブルネックは1本がベースでエフェクティヴな音はこちらで弾いているようだ。もう1本はギターで、歪む音からクリアトーンまでをカバーしている。

 サウンドにぴったりマッチした歌がカッコよく、フランスのレーベルからCDをリリースし、海外ライヴもコンスタントに行なっていると聞いていたから、歌詞は英語だと思っていた。が、時折、日本語がもれ聞こえてくるのが少し不思議だった。だから後でYOW-ROWから「僕らの歌詞は全部日本語です」と言われて、本当にびっくりさせられた。メンバーたちはコンピュータとの間合いをうまく取って、GARI独自の音を作っている。迫力満点の「RHYMERACER」など、フロアライクなバンドの個性を100%発揮して楽しませてくれたのだった。
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 出演バンドごとにカラーがまったく違うのに、オーディエンスがひるむことなくすべて楽しんでいることに改めて感動する。タフな出演者とタフな観客。そして次は今日のイベント最大の台風の目、アルカラの出番だ。

 アルカラは、神戸のライヴハウス「ART HOUSE」周辺およびバンドマンの間で伝説的な人気を誇る4ピース。稲村太佑(Vo.&G.)、田原和憲(G.)、下上貴弘(B.)、疋田武史(Dr.)はライヴ開始前にドラムセットの前に集まって、ゲンコツを合わせた。稲村はシングル「チクショー」のポスターと同じ顔で、首に真っ赤なタンバリンを掛けている。いかにも暴れん坊なメンバーの面構えに、ドキドキしてくる。グァランガッシャーン。いきなりギターが鳴って、意味不明のタイトルのインスト「Aカップ巨乳」が始まった。次の「振り返れば奴が蹴り上げる」を、稲村はギリギリの高いキーで歌い出す。ケイレンするギター、ぶかぶかズボンのベース、ドラムはイスから飛び出しそうな勢いだ。「+.-」は疾走で始まって、途中でスローにチェンジしてまた疾走する。バンドが一丸となってトリッキーな音楽を描く様子は壮観だ。

 タイトなアンサンブルと、一秒も止まりたくない精神性が、アルカラの第一印象。このバンドのアンサンブルの要は稲村にある。噛み付くようなヴォーカルと、鉈でぶった切るような音色のテレキャスターのギターワークがバンドの色を決めている。気が短いのにやさしい不良の音楽は、時に「相対」などでホロっとさせてくれる。一方で、爆発したのは「メランコリア」。稲村の<まだ見えない 見えないんだ>という叫びに合わせて、気がつけば客席で最初に登場したthe storefrontのメンバーが歌っている。稲村は最後に首のタンバリンを叩いて曲を終わらせ、ラストに「チクショー」を歌ったのだった。噂にたがわぬ強烈なパフォーマンスは、パンク・スピリットとオルタナロックが火花を散らす鮮やかなものだった。
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 4バンドのテンションの高い演奏に、会場は温まり切っている。なのである意味、ジンはやりにくいだろうなと思っていたが、そんな心配は無用だった。最初にドラムの哲之がスティックを叩き合わせながら登場して、イスの前に立って観客をアオる。追いかけるようにハルカ(G.)ともとき(B.)も出てきて、「オープニングセッション~ミッション・ジン・ポッシブル~」が始まった。ジンというバンドの基本は、すべてこうしたセッションから始まる。曲作りもリハーサルも、まずはお互いの音を聴きながらというのが彼らのやり方だ。タイトルどおり映画『ミッション・インポッシブル』のテーマ曲をベースにしたセッションは、爆発寸前まで高まっているオーディエンスの心と体に真っ直ぐに入っていく。

 間もなくひぃたん(Vo.)が現われて、デビュー・シングル「雷音」を歌い始める。ヴォーカルの抜けがとてもいい。バンドもセッションでゲットした熱をそのままキープして、歌とのマッチングは高度に安定している。それでも、やはりイベントに登場した4バンドの好演に刺激されて、いつも以上の気合いを感じる。そんなファイティング・スピリットを表わすように、曲の終わりで哲之が立ち上がった。

 「さあ、みんな。今夜は楽しもうじゃないの」とひぃたんがニッコリ笑う。新曲の「ガンマ」にも大きな拍手が起こる。じつはライヴ直前にインタヴューさせてもらったのだが、メンバーは次のアルバム制作に向けて燃えていて、こうした新曲を早くレコーディングしたいと語っていた。

 ハルカのスラッピーなテレキャスターから始まった「創の手」が、最高の出来だった。倒れてそのまま床で歌うひぃたん、低域から入って劇的に盛り上げるハルカのギター・ソロ。特に彼のコーラスワークには、同世代では飛び抜けたスキルとエモーションがある。バンド・アンサンブルのピークは次の曲「みこと」。 CDに入っていた三線のニュアンスを最大限に補う跳ねたリズムが曲に明るさを与える。受けてひぃたんのヴォーカルのイメージが広がり、好調なバンドらしいパフォーマンスとなった。

 再び新曲の「優しい朝」で本編を締めて、長時間に渡るイベントの最後まで残ってくれたオーディエンスに感謝してのアンコールは「ワンスモア」。本当に充実したイベントとなった。

 打ち上げも感動的。まったく方向性の異なるバンドのミュージシャンたちが、互いをリスペクトしつつ音楽談義に花を咲かせる。もちろんいい具合に酔っ払う人がいたり、食欲に走る人がいたり、収穫の多い一夜だった。そして、個人的には、個性のカタマリのようなフェンダーの名器“テレキャスター”を弾きこなすギタリストが偶然にも集結したことも楽しかった。たぶんそれは偶然ではない。きっと、そのことが象徴するように、極彩色のイベントは大成功だったのだ。
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●取材・文/平山雄一、撮影:東京神父/b>

⇒ジン オフィシャルサイト
⇒アルカラ オフィシャルサイト
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⇒The JFK オフィシャルサイト
⇒the storefront オフィシャルサイト
by ex_musicmall | 2010-12-08 21:19 | ライヴレポート
AJISAI〈2009/02/04掲載〉
2009/01/17@Shibuya O-Crest
【AJISAI「TOUR ~虹~ファイナル」】


バンドの芯の部分の不変さを確認できた一夜
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 さすがは結成6年目にして初のワンマン。この日のO-CrestでのAJISAIのライヴは、これまでの集大成とばかりに、新曲から初期の頃の楽曲まで、その都度発表してきた作品の中から満遍なくプレイされ、その都度の彼らの成長や、逆に芯の部分の不変さを確認できた一夜であった。

 昨年12月発表のニュー・シングル『虹』」のレコ発ツアーのファイナルとなったこの日。チケットは早々にソールドアウトだという。パンパンになった会場では、レポートを書くスペースを確保するのも一苦労。やっと見やすい場所をキープし、彼らの登場を待つことにする。初めてのワンマンへの期待のためだろう、会場もいつもよりザワつき、みんなが期待に胸をワクワクさせているのがわかる。

 SEに乗りステージに登場した4人。歓声が彼らを包み、それににこやかに応える。1曲前に軽くチューニングをして一瞬間を置くと、ドラムのカウントと共に「アイコトバ」でライヴはスタートした。優しい歌い出しと、途中エレピの音も混じり、今まで以上に丁寧な歌い方や演奏に、この日のライヴへの意気込みを感じる。一気に景色の良い場所に連れていってくれるこの曲。途中のヴォーカルとドラムになる箇所でのもっとも伝えたい言葉にグッときた。続いて、その雰囲気をガラリと変えるように、勢いのある「シアター」に突入すると、お客さんもギュッと前に詰め寄り、Mocchiのベースと(山本)太作のドラムが勢いと躍動感を引っぱる。一緒に歌っているお客さんも嬉しそうだ。ラストに向かうに連れてのシフトアップと力強さがたまらない。そして、それをさらに引き上げるがごとく、スリリングなイントロからドラマティックなリフにイン。3曲目は「世界の果て」だ。須江のギターが温度の上昇とワイルドさを生み出す。主人公の居ても立ってもいられなくなる心情が会場とリンクする。"まさに溢れ出る感情とはこのことだろう"と実感した。ここで初めてのきちんとしたMCが入る。「みんなと同様にメンバーもこの日を待っていた」と語るヴォーカル&ギターの松本。

 再び本編に。4曲目は「リメンバー」。幼き頃に覚えた家族が揃うことのうらやましさや、そこでの所在なげな自身を歌うこの曲。家族で不足していた愛情を今付き合っている子に求める、そのレトリックにジーンとくる。そして、前の曲のラストでのしっとりした空気を引き継ぐように「かくれんぼ」へ。須江のギターが派手ではないがきっちりとした色彩を生む。また、須江とMocchiによる甘く温かいハーモニーもこの曲の出色どころだ。やはり彼らの1曲1曲は、"コレ!!"といった形容ができない。嬉しくもあり、哀しくもあり、優しくもあり、激しくもあったりと、1曲の中で色々な感情がない交ぜに同居しているからだ。松本がアコギに持ち替えると、「虹」収録の「眠らない魚」が始まる。弾き語り+αのスタイルで伝えるこの曲では、会場中が染み入るように一緒に歌い、曲に満ちている愛しさが溢れ出した。ここでMC。これまでの道程を振り返りつつ、「雨の中に咲く花=AJISAIが自分たちにはピッタリだ」と松本が語り、メンバーもお客さんも改めてそれを実感した。
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 ライヴに戻ろう。7曲目は「虹」。最新シングルのタイトル曲だ。曲に満ちている雨上がりや晴れやかさ、そしてありがとうの気持ちがステージから溢れ出る。そして、ノンストップで「あなたがいない世界」に突入。さらにシフトアップしていく演奏に、お客さんも明るく嬉しそうな顔になる。まだまだ勢いは加速していき、9曲目は「アンバランス」。ヴォーカルの歌い出しから始まりながらも、Mocchiのベースがドライヴ感を生み、太作のドラムもタイトさで勢いをつける。負けじと須江もがむしゃらに突っ走っている様子をギターで表わす。「雨男の歌を一つ聴いてください」という松本のMCの後に始まったのは「rainman」。太作が重いビートを叩き出し、会場も合わせて手拍子で応える。例え土砂降りの中でも、こんな曲を聴けばきっと鬱なく過ごせるにちがいない。大サビの部分は会場中で大合唱と、そんなポップな気分になる曲だ。みんな幸せいっぱいな表情で一緒に歌っていた。

 ここでMCを挟み「春の呼吸」に。旅立つ友を見送る心境や心情、そして“今まであったことを一生忘れないだろう”という決意が聴き手にダイレクトに伝わってくる。春の景色を歌った歌は続き、次に登場したのは「桜並木」だ。まるで桜並木が眼前に広がっているような同曲。儚きものの終わりまでの時間と、失ってしまった相手を思い起こさせる、ゆったりとダイナミックに広がっていくこの曲に、会場中が浸るように聴き入った。

 「自分の未来はあまり思ったほど、上手くいってないのかもしれないけど、それでもいいじゃないか」との松本の力強いMCを機に後半戦に突入。続いては、あの日あの頃の自分と今の自分を重ね合わさせる「タイムカプセル」だ。未来への明るさや希望、そしてこれからの自分の夢を馳せさせてくれるナンバーに会場中が歓喜づいた。本編ラストは、“これからも一緒に行くゾ!!”の意味も込め、勢いのある「片道急行」を放つ。彼らのライヴのラストを飾る機会も多い同曲。リリックの「どこまでも走れ」には、メンバーもお客さんも自分への鼓舞が含まれていたにちがいない。

 アンコールに促されてメンバーが再度登場すると、客席からサプライズ的に、手作りの虹色の大きなフラッグに、「ワンマンライブ おめでとう」の手書きのメッセージと、「いつも素敵な歌をありがとう」とのコールが。これにはメンバーも感激。そして、そのお返しとばかりに今度はメンバーから、「3月4日に2ndアルバムを発売する」とのアナウンスが。「最高の作品ができた」とメンバーもステージ上から自負していただけに、発売が楽しみだ。

 そして、アンコールの1曲目は、そのニュー・アルバムに収録される「失恋レシピ」。彼女が去って悲しいけど、それが明日への糧となるようにと歌われるこの歌に会場中がしんみりと聴き入る。続いては「未来」。明るく力強くパーッとしたこのナンバーは、“一緒に未来へ行こう!!”と誘われているように、会場中をそれぞれの描く未来へと連れていってくれた。

 とは言え、ここで終わらないのがワンマンライヴ。なんと、ダブルアンコールに応え、メンバーがステージに再々登場する。松本がハーモニカを取り出す。首からぶら下げ、それを吹くと、彼らが最初に作ったという曲「紫陽花」が何年ぶりかにプレイされた。ハンドマイクで歌う松本に、途中歌われる<何よりも今を楽しみなさい>を体現しているメンバーや会場。そして、その後に歌われる<あなたの色に染まっていく>、これこそが彼らが作ってきた歌が、多くの聴き手の中で育ち、ついには自分のもの(歌)へと変わった証のようにも響いた。
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●取材・文/池田スカオ和宏、撮影:川合 泉/b>

⇒AJISAI オフィシャルサイト
⇒AJISAI 2ndミニ・アルバム『キミスキセツ』インタビュー
⇒AJISAI 2ndアルバム『sayonara terminal』インタビュー
⇒AJISAI 【the Bouncing Soup Show 2007】ライヴレポート

by ex_musicmall | 2010-12-08 21:18 | ライヴレポート
Jeepta〈2009/01/28掲載〉
2008/12/28@稲毛K'S DREAM
【Jeepta『進化論』Tour Final ONE MAN LIVE「8748229」】


パワフルに突き進んだ一年を締めくくったワンマン
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 2008年10月8日に2ndミニ・アルバム『進化論』を発売し、全国各地ツアーを慣行した Jeepta。その集大成ともなるワンマンライヴが12月28日に稲毛K’S DREAMにて行なわれた。ツアーファイナルに付けられたタイトルは“8748229”。果たして、この数字の中に隠された意味とは……?

 大勢のファンが集まったこの日のライヴは「日々無情」からスタート。最近ではライヴで耳にすることも少なくなったこの一曲は懐かしくもあり、そのせいかイントロのギターが鳴り響くや否や、ファンの盛り上がりものっけから上昇。『進化論』を発売してからというもの今まで以上に猛スピードで走り続けている彼らは、見る度に新鮮さを与えてくれるステージングを披露し、驚くほどの成長ぶりを見せ付けてくれる。この日のワンマンライヴも初っ端から挑発的だ。

 独特のパフォーマンスで魅了するchoro(G.)、男性も顔負けの迫力ある叩きっぷりが持ち味でもある紅一点ドラマー青木奈菜子、身を乗り出してのパフォーマンスで個性的なベースラインを響かせるサトウヒロユキ(B.)、そして、落ち着いた素振りを見せつつも誰よりも荒々しい石井 卓(Vo.&G.)、観客が盛り上がる中、そのまま流れるように「フレグランス」へと突入。これぞ“ジャパニーズお祭りロック”といわんばかりの一曲で観客のヴォルテージは早くも上昇。とち狂ったようなギターラインに思わず体を揺さぶらずにはいられなくなり、気付けばあっと言う間にJeeptaワールドへと引き込まれていく。そのまま音を途切れさせることもなく「sorry」へと流れ、これまたライヴでは久しぶりの一曲に興奮せざるを得ない熱気が充満し始めた。

 「鳴れる場所」で一旦落ち着きを取り戻した後には、前作のアルバムタイトルでもある「シナリオ」へと突入。石井の叫びが印象的なこの一曲は、もちろんライヴでも大きな盛り上がりを見せる。なぜか涙がこぼれそうになる哀情が心を劈(つんざ)いてくるが、じつはその逆である。「人は哀しみに気付くことは容易いけれど、それと同じくらいに喜びもある。その喜びに目を向けることが大切だと思う」と、石井がMCで語るように、この曲は哀情ではなく、喜びに気付くことの重要さを教えてくれる一曲である。
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 心に突き刺さる楽曲を披露した後に、新曲「human」と「傾向と対策」を続けて披露。Jeeptaらしいポップさを兼ね備え、メッセージ性の強さも感じられるリリックが会場中に響きわたる。一年ぶりに演奏された「二面体ハッピーエンド」では彼らのアダルティな部分も垣間見ることができ、妖艶さと色気がより際立っていたことにも驚いた。会場は一旦落ち着きを見せるものの、すかさず「Loop」へと突入し、またもやお祭り騒ぎの状態へと一変した。

 「『シナリオ』ツアー30本以上、『進化論』ツアーも30本以上、CDを全国リリースする感動から2008年は始まり、色々pなことが変化していき、たくさん感動をしながらとても充実した毎日を送ることができました。色々な出会いがあり、色々な人達が協力してくれました。僕らを支えてくれた皆さんに感謝しています。ありがとう」と告げた後、ミニ・アルバムのタイトルでもある「進化論」を披露し、そのまま「リコール」へと突入。<ねぇ ありがとう>のフレーズに強いエナジーを感じるこの一曲にはいつも心を突き動かされてしまう。

 興奮も冷めやらぬままアンコールへと突入。「今日のライヴの話を、いつかみんなで酒でも飲みながら語り合えればと思います」とMCで語った後、珠玉のバラード新曲「冬の歌」でワンマンライヴ「8748229」は幕を閉じた。が、余韻に浸るのも束の間、2008年最後のステージとなる12月31日が訪れた。この日は多くの音楽ファンが集まる【COUNTDOWN JAPAN08/09】の開催日である。今回Jeeptaの初出演も決まり、大晦日に彼らは幕張メッセのステージに登場。さらにその後、彼らは稲毛K’S DREAMへと移動し、カウントダウンライヴを慣行した。

 どこまでもパワフルなまま突き進んだ2008年は、ライヴ活動を頻繁に行ない全国をまわった年でもあった。そしてさらに加速し続けながら2009年を迎えたJeepta。今年の彼らはどんな活躍ぶりを見せてくれるのか、じつに楽しみである。そして、「8748229」、この数字に隠された意味があなたは理解できただろうか? 彼らのライヴを観れば、きっとその意味が分かるはずだ。
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●取材・文/磯山みゆき、撮影:川合 泉

⇒Jeepta オフィシャルサイト
⇒Jeepta 自主制作盤シングル『リコール』インタビュー
by ex_musicmall | 2010-12-08 21:17 | ライヴレポート
椿屋四重奏〈2009/01/14掲載〉
2008/12/20@赤坂BLITZ
【椿屋四重奏『熱視線6 live circuit「SECRT ROOM」』】


一年間の充実度が滲み出たステージ
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 「今日は新曲を何曲か披露するみたいですよ」
 そんな前情報も楽しみに挑んだ、椿屋四重奏のワンマンツアーのセミ・ファイナル。翌日同じ会場で行なわれるファイナルのチケットも早期に完売し、急遽その追加公演でもあったこの日のライヴは、彼らの今までとこれから、そして2008年度の彼らの活動の充実度が終始滲み出たものとなった。

 【SECRET ROOM】とタイトルされた今回のツアー。ステージ頭上では朽ちたシャンデリアが、ステージのバックには無機質で金属的なゲージが、そのタイトルさながらの密室感を醸し出している。ハードなビ・バップ(JAZZ)のBGMが場内に心地よく流れる中、突然それが止み、SEに乗り、ドラムの小寺、ギターの安高、ベースの永田、ヴォーカル&ギターの中田の4人が順にステージに登場した。

 中田にスポットライトが当たり、1曲目の「ぬけがら」がジャジーなタッチの弾き語りスタイルで始まる。それを受け止めるかのように聴き入る会場。その一拍後、ガツンとしたダイナミックさを急に目の前に提示されたように、2曲目の「終列車」に突入する。ワイルドさと艶かしさ、スリリングさを有したこの曲に、会場中がグイッと引き込まれる。この頭2曲だけで、会場全体がすでに椿屋の世界観に支配されていることを実感する。3曲目「群青」が始まると、間奏部で安高のギターもアクセントをつける。そして、めまぐるしいこの曲の展開をリードするのは、やはり小寺のドラムだ。4曲目の「幻惑」のイントロが鳴らされると、一際高く歓声が上がった。ストレートになるサビの部分では、コブシも多く上がり、ライヴ・アレンジされた長い間奏部や、そこから沸き起こる高揚感はライヴならではだ。

 ここで一発目のMCが入る。「どうせクリスマスも一人だろうから、俺からのプレゼントだ」と、中田が発したあとに放たれたのは、新曲「CRAZY ABOUT YOU」。サポートのキーボードも加わり、中田もハンドマイクで歌う。モータウン調のポップな曲ながら、途中にオペラ風の3拍子も挿入され、楽曲を膨らませる。客席も中田も歌に合わせ、楽しそうにステップを踏んでいる。その様はさながら、廃虚での舞踏会だ。そして、ポップ色になった会場を、再び彼ら独特の“艶ロック”へと引き戻すように「恋わずらい」に入る。間奏部では4ビートを上手く取り入れ、会場を一瞬ジャジーな雰囲気へと誘う。"もしかして、今回の彼らのライヴの裏テーマはジャズなのか?"と邪推。

 ドラムのつなぎのビートに合わせて手拍子を打つ会場。それをまるで急転させるかのように、スリリングな安高のギターリフが会場に響き渡り、「熱病」が始まる。タメて叩くドラムがワイドさを生み、リレーするように安高のギターソロが会場中に高揚感をもたらす。再び中田がギターを持ち「プロローグ」をプレイする。間奏部では、中田と安高が向き合い、ツインリードさながらのギタープレイを披露。うーん、カッコいい!! 続いて、彼らの中では珍しい裏打ちナンバー「硝子玉」に入ると、永田のベースもレゲエのファットさを楽曲に持ち込む。音数やアレンジのドラマティックさが少ないぶん、あえて歌世界で勝負しているかのような場面だ。歌の中の雨に打たれている光景が眼前に現われた。

 中田による2度目のMCを挟み、再びダイナミックなイントロが会場中に響き渡り、「MU DA BO NE」が飛び出す。安高と永田、そして小寺のコーラスも加わる。続いて、新曲「シアトリカル」が飛び出すと、新曲にも関わらず、曲に合わせ、会場中が腕を左右に振る。そして、メローながらドラマティックに歌う、ミディアムなナンバー「紫陽花」、ジワジワとスリリングさと艶かしさを有した「砂の薔薇」に続き、会場中が彼らの放つ大きな波に飲み込まれていく。続いて、パラレルなフレーズが会場いっぱいに広がると、「トーキョー・イミテーション」が始まる。間奏では永田も長尺のベースソロを披露。そして、立て続けのノリの良い曲がさらに会場を湧かす。高揚感たっぷり、ラストでは目まぐるしい変化を見せる演出もニクい新曲「フィナーレ」、雨の情景を歌いながらも、その向こうにある晴れを感じさせる、配信限定ナンバー「アンブレラ」が会場に響き渡った。次のMCでは、先日東京ドームに沢田研二のライヴを観に行き、そのステージに感銘。「生涯でもっとも良いステージを見た」と、中田が嬉しそうに語った。

 さあ、ここからは後半戦だ。まずは、変則的なブギーの効いた新曲のグラムナンバー「クリーチャー」が始まる。サビは初見のお客さんでも充分に歌えるほどキャッチーだ。続いての「サイレンス」では、中田のアクションもさらに激しくなっていく。そして、「螺旋階段」がプレイされると、お客さんの興奮度もさらに上がる。もう、こうなったらお互い興奮度の上書き合戦だ(笑)。本編最後の「空中分解」では、中田も前っつらまでせり出していき、永田と安高が向き合い、己の楽器を弾く。会場全体が一体感を持ってそれに呼応する。まちがいなく本日のクライマックスだ。性急的なアウトロがガッツリと、この日の本編を締めてくれた。

 ここからはアンコール。ステージに椅子が2脚用意され、中田と安高の二人が現われた。アコギを持って椅子に座る二人。どうやら新曲の「僕にとっての君」を弾き語りで披露してくれるようだ。新曲での不馴れ、いや、客席を和ますための愛嬌だろう(笑)、二人がイントロをハズすも、会場中が快くやり直しを促す。2本のギターのアンサンブルと歌でしっとりと伝えてくれたこの新曲に、会場中が染み入るように聴き入った。そして、ステージに永田と小寺も加わり、中田は引き続きアコギを手に「小春日和」をプレイする。続いて、本日のサプライズとばかりに、やおら中田がハットをかぶり、聴き覚えのあるイントロが飛び出した。前述のMCでも発せられた沢田研二の「勝手にしやがれ」のカバーだ。会場中が矯声に包まれる。カブっていたハットを間奏時に客席に投げ入れる姿は、まさにエンターテイナーだった。

 ここで本日最後のMCが入る。中田が今年1年のお客さんへの感謝と、来年の椿屋は増々面白くなることをマニュフェストする。そして、シメはやはりこの曲。会場中のレスポンスによる曲のイントロデュースに乗り、「君無しじゃいられない」が始まった。"待ってました!!"と飛びつくオーディエンス。間奏にはこれまたお約束のメンバー紹介&各人のソロ回しを披露。その後のコール&レスポンスに会場中も嬉しく応えていた。

 演奏曲数24曲。うち5曲もの新曲を披露してくれた彼ら。前述と重複するが、じつに椿屋四重奏の今までとこれから、そして2008年度の充実度が終始滲み出たステージであった。
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●取材・文/池田スカオ和宏

⇒椿屋四重奏 オフィシャルサイト
⇒椿屋四重奏 インディーズ・ベスト・アルバム『RED BEST』インタビュー
⇒椿屋四重奏 2ndアルバム『CARNIVAL』インタビュー
by ex_musicmall | 2010-12-08 21:16 | ライヴレポート
tacica〈2009/01/07掲載〉
2008/12/17@渋谷CLUB QUATTRO
【tacica「三大博物館 新館特別展 ~ワンマンの夜明け~」】


tacicaは間違いなく、言葉のバンドだ
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 ちょうど一年前に行なわれたtacicaの東名阪ツアーのタイトルは【2007 TOUR 3大博物館】だった。そして今年12月の東名阪CLUB QUATTROワンマンツアーは【三大博物館 新館特別展 ~ワンマンの夜明け~】。タワーレコードで軒並みチャート一位を記録し、ソールドアウトとなって以来、注目の的になっているtacicaの今年の締めくくりは、噂にたがわぬ雰囲気。12月17日@渋谷CLUB QUATTROは、彼らの歌を聴きこんできたリスナーたちの熱気が開演前から渦巻いている。“ちょっとチェックしてみようか”とか、“名前を聞いたことがあるからやってきた”とか、そんな生やさしい感じのオーディエンスではない。歌そのものに対してこれほどストレートな期待を集めるバンドは、滅多にいないだろう。猪狩翔一(Vo.&G.)、小西悠太(B.)、坂井俊彦(Dr.)の3人がステージに現われただけで、「オーッ」という異様な歓声が起こった。

 坂井がシンバルを鳴らし、さらにキックを踏み込む。そこに猪狩のギターの刻みが加わる。曲が始まる前の、tacica独特のイントロダクションだ。小西はベースをチョッパー気味に弾く。「コオロギ」を歌い始めた猪狩のしっかりとした声と言葉に呼応するように、ギターの音色はストイックであり、ドラムのリズムはひたすら重く、ベースは低音をドラムにまかせてメロディをサポートする。このバランスがtacicaなのだ。続く「クローバー」でもギターとドラムがフリーキーに暴れ回るイントロダクションが付いている。坂井のタムから曲が始まると、ポストロック的なアプローチのサウンドがQUATTROを満たした。

 猪狩はほとんど動かない。対して小西が大きなアクションでライヴにメリハリを付ける。間奏ではバスドラの連打やギターの鋭いカッティングなど、スリリングな展開を見せる。ビシッと終わって、いよいよ僕の大好きな名曲「人間1/2」が始まった。<闘争心を持って生まれた あの日のモンスターも 背中のファスナーが覗こうと 哀しくはないさ 多分>という歌詞に、QUATTRO中が反応する。みんな、tacicaのリリックが大好きなのだ。終わると大きな拍手が起こった。まだ、バンドもオーディエンスも緊張している。ここでメンバーがひと息入れると、会場もようやくざわざわし始めた。
 「楽しいですか? 僕は楽しくてしょうがない。三大博物館 新館特別展にようこそ。最後まで楽しんでってください」と猪狩。「黄色いカラス」が始まると、この曲を待っていたかのように、キャーッという悲鳴のような声が客席から上がった。

 ここまで聴いて、思うことがあった。CD音源でtacicaを初めて聴いた時、耳に突き刺さってくる言葉とともに、よく洗練されたアレンジが好きになった。そして、それをどれくらいライヴで再現してくれるのだろうと期待していた。が、正直、ライヴでのtacicaの演奏は、CDとは違っていた。どちらかと言えば、彼らの演奏は上手ではない。だが、猪狩の歌に焦点を絞ったプレイは、とてもすがすがしかった。言葉を届けることに集中することに徹するバンドならではの愛情とエネルギーの発信がそこにはあった。それはQUATTROという会場のキャパシティには必要充分であり、実際、オーディエンスはそれぞれの曲に自分たちの想いを重ねてライヴを楽しんでいた。そのことが明らかだったのは、1月リリースの新曲「人鳥哀歌」だった。ディレイをかけたギターから始まったその曲に、オーディエンスは体を揺らしながら耳を傾け、歌詞のひと言ひと言にうなずくように聴いていた。

 ユーモアたっぷりのグッズ紹介の後、人気曲「オオカミと月と深い霧」からライヴは終盤にさしかかる。猪狩は膨大な量の言葉をこの日、歌ったはずなのに、彼の口からまだまだ言葉があふれ出る。何よりそのことが感動的だった。言葉なのか、グルーヴなのか、はたまたメロディなのか。もちろんそれらのどれもがあって音楽は成立するのだが、バンドによって中心に置くものが異なる。tacicaは間違いなく、言葉のバンドだと思う。だからアンコールで歌った新曲「タイル」が、言葉の持つリズムをこれまで以上に引き出していたのが嬉しかった。そうした新曲群がライヴでさらに磨かれた時、 tacica はきっと2009年のバンドシーンの重要な一画を占めることになるだろう。
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●取材・文/平山雄一、撮影:鈴木万祐子

⇒tacica オフィシャルサイト
by ex_musicmall | 2010-12-08 21:15 | ライヴレポート
鶴 / UNISON SQUARE GARDEN / 竹内電気 / sister jet(O.A.)〈2008/12/24掲載〉
2008/11/20@Shibuya O-EAST
鶴 / UNISON SQUARE GARDEN / 竹内電気 /
sister jet(O.A.)
【時を染めゆく音】

個人イベンター「コト」が応援してきたバンドが、
彼女のために集まった豪華な一日


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 個人イベンター「コト」が2005年11月よりスタートさせたイベント企画【時を染めゆく音】。おもに大阪で展開している当企画のアニバーサリーイベントとして、今回は東京・大阪での豪華ラインナップによる2デイズの開催が決定。“音と人、すべてのものが繋がって広がっていくようなイベントを目指したい”とする彼女のイベントの集大成となった東京公演の模様をレポートしよう。

 オープニングアクトとして登場したのは、“世界をキュンとさせ、宇宙をグッとさせることを使命”に活動中の3ピースバンド、sister jet。「え~こんばんは。【時を染めゆく音】へようこそ。時、染め始めます、sister jet!」と言い、パワフルに弾けるビートとキラキラしたメロディーが印象的な「ラブコメディー」で幕を開けた。「やっぱりこんぐらいお客さんが密集してると、ダンスをしたくなりますよね?」とオーディエンスに問いかけ、ダンサブルなナンバー「I Know」を演奏。そして、“誰だって曲は作れるし、簡単なことだって証明してるセット”=パートチェンジ〈WATARU.S(Vo.&G.)→アコギ、SHOW SKB(B.)→ドラム、KENSUKE.A
(Dr.)→ キーボード〉をして、sister jet流ウィンターソング「ハッチ ザ エンドロール」を披露した。ラストは、初めて聴く人もバッチリ歌えてしまうほどキャッチーなサビメロの「LaLa Dance」をオーディエンス全員で合唱。60年代ロックを彷彿とさせるサウンドに、彼らのポップなエッセンスが散りばめられたナンバーを全5曲披露、観る者を昂揚感に包み、キュンとしてグッとさせた。
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 次は愛知県在住の超ド級ポップバンド、竹内電気。彼らがリスペクトする山下達郎氏の名曲「SPARKLE」に乗って笑顔で登場。長い黒髪を一つに束ねた斉藤伸也(G.&Vo.)がステージ中央まで来て観客に背を向ける。そして上半身をヒネって顔を客席に向けながら束ねた黒髪を色っぽく(?)ほどき、観客を大爆笑させた。すでに場内に異様な一体感が生まれている中、ライヴ定番曲「Hello Mr.Regret」でスタート。多彩なアレンジを施したサウンドに、切なく甘いメロディー、個性の異なる二人のツインヴォーカルという楽曲の良さもさることながら、まず何よりも彼ら自身が楽しんで演奏していて、その姿を観ているだけで自然に笑みがこぼれてしまう。MCでは、UNISON SQUAERE GARDENの名が飛び出し、山下(Vo.&Syn.)が「カッコいいな~顔が……」とボソリ。すると、「あ、斎藤くん? 生き別れの双子説が濃厚なんですけどね」と言う同名字の斉藤に、「完全に一卵性じゃん」と山下がつっこむ(笑)。「本当ね、腰が低くていいやつなんですよ、 斎藤くん。(顔が)僕に似ててね!」と言うと、UNISON SQUAERE GARDENのファンから「えぇ~っ!!」というキビシイつっこみも(笑)。“本当に平均年齢23歳なの!?”と疑ってしまうのは、彼らが老け顔……(失礼!)なわけではなく、群を抜くポップセンスに溢れた楽曲の数々のせい。さらに、エンターテインメント性の高いパフォーマンスによって、終始笑顔が絶えないステージを繰り広げた。
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 続いては、今年7月に『センリメンタルピリオド』でメジャー・デビューし、ライヴシーンを中心に人気急上昇中のUNISON SQUARE GARDEN。1曲目の「フルカラープログラム」から熱のこもったライヴを展開した。「『時を染めゆく音』というイベントは、さっき僕の生き別れの兄の方が言ってたと思うんですが……」と笑いを誘い、「最多出演、4回目です。今日はものすごいやる気に満ち溢れています。心ゆくまで楽しんでやろうと思っています!」と斎藤。現在レコーディングしている楽曲の中から「デイライ協奏楽団」、さらに2009年1月28日に発売の2ndシングル『マスターボリューム』を早くも披露し、ファンを喜ばせた。安定感あるパワフルなドラム、ステージでは人が変わったように激しいパフォーマンスで観せるベース、そしてエッジの効いたギターを掻き鳴らしながら聴かせるハリのあるヴォーカル……。そのコンビネーション抜群のバンドアンサンブルが共鳴、観る者を圧倒していく。「キタキタキター! 今日ね、この曲がやりたかったんだよ、俺は!」と少年のような声を上げて演奏し始めたダンスチューン「等身大の地球」でファンを躍らせ、最後はライヴ定番曲として人気の「ガリレオのショーケース」で大いに盛り上げた。
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 トリを飾ったのは、ウキウキ&切なさの伝道師であるアフロトリオ、鶴。ジャクソン5の「I WANT YOU BACK」が流れる中、キモシャツ姿で登場した3人は“鶴のポーズ”をキメ、「こんばんは、鶴ですぅ~。最初から最後まで踊って帰ろうぜ~い!」と言い、11月にリリースされたばかりのニュー・シングル「恋のガソリン」から演奏。70'ソウル&ディスコの香り漂うサウンドと、フォーキーなテイストを持つ胸キュンメロディー、耳に残る真っすぐなヴォーカルで、とびきりポップなアフロックでフロアを盛り上げる。“強制参加型エンターテインメント”を自称する彼ら。“鶴のポーズ”を伝授したり、彼ら曰く“オサレ(オシャレ)な街、代官山”にかけて、代官の“D”“K”、そして両腕を90度に曲げて“山”ポーズ。次々繰り出されるアクションとコール&レスポンスに、まさしく強制的に全員参加(笑)。メンバー3人の掛け合いも抜群で、見た目とは違って(?)親しみやすいキャラでファンを引きつけ、笑顔にさせる。初めて鶴のライヴを観る人もすっかり巻き込み、明るく楽しいステージパフォーマンスで、トリを飾るに相応しいエンターテインメントなステージを展開した。
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 個人イベンター「コト」がずっと応援してきたバンドがそれぞれ成長して大きくなり、彼女のために集まったこの日。残念ながら、「時を染めゆく音」は一時休止するそうだが、彼女の頑張ってきた3年間がきちんとした成果となって形になった最高のイベントだった。「時を染めゆく音」の再開を心から望む一人として、彼女に最大限の拍手を贈りたい。

●取材・文/牧野りえ、撮影:東京神父

⇒sister jet オフィシャルサイト
⇒竹内電気 オフィシャルサイト
⇒竹内電気 アルバム『PLAY』インタビュー
⇒竹内電気【「SHY!!」release tour -KONJOH-】ライヴレポート
⇒竹内電気【switch.pop.breaker】ライヴレポート
⇒UNISON SQUARE GARDEN オフィシャルサイト
⇒鶴 オフィシャルサイト
⇒鶴 5thシングル『アイタリナイ』インタビュー
by ex_musicmall | 2010-12-08 21:14 | ライヴレポート
LAST ALLIANCE〈2008/12/17掲載〉
2008/11/20@Shibuya O-EAST
LAST ALLIANCE【the sum TOUR 2008 FINAL】


高い熱狂に包まれた、トータル24曲、
超フルヴォリュームのツアーファイナル

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 この初夏に発売したニュー・アルバム『the sum』を引っさげ、7月より全国43箇所、のべ4ヵ月に渡る全国ツアー【the sum TOUR 2008】を行なってきたLAST ALLIANCE。途中の数箇所は、ドラムのHIROSHIが急性腸炎にかかり、サポート・ドラマーで乗り切るも、各会場とも大盛況だったと聞く。そのツアーも、この日のShibuya O-EASTでファイナル。"東京への帰還を磐石の体勢で挑まん!!"とばかりに、この日のO-EASTは、始まる前からかなり高い熱狂に包まれていた。

 定刻を10分ほど過ぎたあたり。場内にSEが流れ、それに合わせ、会場中が手拍子でメンバーを迎え入れる。まず、前っツラまで赴き、挨拶&キッズに一あおり入れる各メンバー。登場から一音を放つまでが長い(笑)。一発目は、「Break a mirror」だ。イントロの重さから一変、疾走感へのシフトには身震いを覚えた。すでに大盛り上がりの会場前方では、無数のコブシが挙がっている。ヴォーカル&ギターのANZAIがリード・ヴォーカルを取り、中間部のリレーションとハーモニー部はヴォーカル&ベースのMATSUMURAが担当。2番はMATSUMURAが歌う、このナンバー。周知の通り、このLAST ALLIANCEの魅力の一つは声質の違うツイン・ヴォーカル。それを一曲目から堪能させてくれたのだ。
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 続いて、聴き覚えのあるイントロが流れ出すと、場内はさらに盛り上がる。2曲目は、ニュー・アルバムの冒頭を飾った、勢いと疾風感のある「Change by 1」だ。そして、ノンストップでギターのShingoの弾き出す複雑なイントロに突入するも、一変してファストにシフト。3曲目は、MATSUMURAがリード・ヴォーカルを取る「WORLD IS MINE」。そのファスト具合が客席にさらに火を点ける。間奏部では幾何学にドラムを叩くHIROSHI。これを見る限り、腸炎も全快のようだ。その後、ノンストップでギターソロによるイントロの後、飛び出したのは、「片膝の汚れ」。この曲から彼らのファンになった人も会場には多かったのだろう。会場中がひときわ盛り上がる。ツイン・ヴォーカルによる、これでもかとカーチェイスばりに飛び出してくるリレーション式のヴォーカルに鳥肌が立った。

 ここでMC。ギターのShingoが「ラスアラが渋谷をROCK(LOCK)しにやって来たぜ」と会場に放つ。続いて、切ないイントロとメロディアスなヴォーカルが切なく響く「浄化」をプレイ。彼らの魅力の一つである歌謡曲的テイストが活きるナンバーだ。間にはジャジーな4ビートを交え、大人な展開も見せる。そして、歌謡曲的テイストのあるナンバーは続く。MATSUMURAの歌う「無重力ONEWAY SHUTTLE」、赤い照明が似合うスリリングさと哀愁性が同居した、ANZAIが歌う「砂漠と幻想」、さらにそのスリリングさを継続させながらも、 MATSUMURAの歌う切ないナンバー「ゼンマイ」へとバトンを渡す。ここでANZAIがMCをとり、「最高のライヴをやろうぜ」と客席とメンバーとでアライアンスを組んだ。
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 再び本編に戻り、ミディアムで聴かせるナンバー「ロンサムワールド」が登場。会場中がまさに聴き入り、歌の中に現われる情景に各人が想いを馳せているようであった。続いて、アルペジオのイントロが響き出すと会場中が大喜び。「偽りのオレンジ」だ。間奏ではドラムを中心に向き合う4者の姿も頼もしい。そして、ドラマティックな展開が目まぐるしい、ANZAIが歌う「ラッキールチアーノ」では、Shingoのギターソロも冴える。そして、ステージは MATSUMURAの歌う「群青海月」へと続いた。

 ここで3度目のMC。まずはMATSUMURAがしゃべり、その後をANZAIが継ぐ。「あげていくゾ!!」のANZAIの掛け声により、後半戦がスタート。まずは、勢いと疾走感もたまらない「proud of Scar」。"待ってました!!"とばかりに会場前方ではダイヴが起こる。勢いのある曲はまだまだ続いた。次は、MATSUMURAの歌う「真冬の蝉」だ。ウェットなタイプのメロコア・サウンドながら、会場中の熱狂度もマックス。HIROSHIも渾身の力を込めて叩いている。さらに「Rebel Fire」「Truth In My Arms」と、怒濤のナンバーは続く。「Truth In My Arms」では、"これでもか!!"と言わんばかりに激走するステージに、スパークし続ける会場。そのコントラストや一体感がたまらない。お客さんも全力で呼応している。

 そして、あっと言う間にラスト。本編のラストは、ニュー・アルバムでもハイライトの1曲であった「パーフェクトゲーム」。ポップでメロディアスながら、勢いと力強さをしっかりと持っている曲だ。曲で描こうとしていた景色が眼前にパーッと広がっていった。
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 ここからはアンコール・タイム。まずはHIROSHIが登場し、感謝のMCを述べる。そのMCに導かれるように鳴り響く、Shingoのギター・イントロ。MATSUMURAが歌う「揺れた秒針」だ。ミラーボールも回り出す。続いては、「雨上がりにグラフィティ」。ニュー・アルバム中もっともパーッと広がっていくこのナンバーに、会場中が雨上がりの青空のような晴れやかな気分になる。そして、スリリングなイントロとストロボ効果が似合う「SPIRAL WORLD」を放ち、再度ステージを去るメンバー。 さらにダブル・アンコールに応えて、まずはメロディアスでスケール感のある「LETTER」をプレイ。そして、彼らの本質とも言える、メロディアスさに勢い、そしてスケール感のある曲「Drag On」が飛び出すと、会場中が"待ったました!!"とばかりに飛びつく。間にはスリリングさも交え、Shingoのスウィープ奏法も冴えた。

 トリプル・アンコールに応え、ステージに現われるメンバー。ここからは、バシッと潔く締めくくるかのようにファストなナンバーが連発される。まずは、「一刀旅団」で会場中を蜂の巣を突いたかのような騒ぎにさせておいて、正真正銘のラストは、彼らの初期からの代表曲である、疾走メロディック・ナンバー「LAST ALLIANCE」で締め。アンコール3回、トータル24曲もの楽曲をプレイしてくれた、この日のラスアラ。ニューアルバムのタイトルの邦訳である“総質量”を、まさに体現してくれた一夜であった。

●取材・文/池田スカオ和宏

⇒LAST ALLIANCE オフィシャルサイト
by ex_musicmall | 2010-12-08 20:46 | ライヴレポート
ザ・ガールハント〈2008/12/10掲載〉
2008/11/27@下北沢CLUB Que
【ガールハントグランプリツアー「ドレミ=ファンダメンタルズ」ファイナルワンマンライブ!!!!】


見どころ&お楽しみ満載の笑顔100%ライヴ
ザ・ガールハント〈2008/12/10掲載〉_e0197970_19535513.jpg
 「みなさん、ザ・ガールハントのライヴへようこそ! 今日はやるぞー!! よろしくぅ!!」という気合いの入ったマスザワの第一声で「リサイク」からスタートすると、場内にパッと明るく元気な空気が流れ、しょっぱなからザ・ガールハントが掲げる“へたれロック”が爆発する。はやる気持ちを抑え切れない様子で加速度を上げグイグイ飛ばしていき、4曲続けて演奏し終わったところで、「*◎☆×≠◇絶好調~!!」とチバが叫び、間髪入れずに「×@◇◎△☆絶好調~!!」とマスザワも叫ぶ。二人ともすでにテンションマックスだ(笑)。「あの~、言っときますけども、我々めいっぱい楽しみますので、みなさんも僕ら以上に楽しんでいってください! それでは、最後の曲です、ありがと〜う!!」とマスザワ。ファンは爆笑、ここでメンバーもファンもふと緊張感が解けて、よりアットホームな雰囲気に。

 そのまま1曲「108」を演奏した後、MCへ。紅白のことからコンビニでの出来事など、脱線しまくりのへたれトークがしばらく続いたところで、突然「大事なことに気づいちゃった。曲がまだまだいっぱいあるよ!」とチバ。「じゃあ曲やる? でもこっからもうMCないからさ」とマスザワが言い、 “え゙ぇー!!”と不満たっぷりに観客が声をあげる。すかさず、「だって次で最後の曲だもん」とチバが言うと、「でもその曲、2時間半くらいあるけどね!」とさらにマスザワがボケ倒す。ネタ合わせしてきたのか!? と思うくらい(実際にはすべてアドリブ)、漫才師顔負けの爆笑トークを繰り広げた。そんな彼らのトークにファンは笑ったり、関心したり、驚いたり……大忙しだった(笑)。
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 でもいったん演奏が始まれば、雰囲気は一転。グッドメロディー&アイデア満載のバンドサウンドと、勢いよくエモーショナルに歌うツインヴォーカルで観客を揺らす。そんな究極のへたれポップワールド全開のナンバーを続けざまに演奏し終わったとたん、「ガールハントって、曲いいね!」とマスザワ。もちろんファンは“うんうん”と大きく頷きながら拍手。「ここ数年ね、楽曲の良さがMCに隠れてると思うんだ……」と嘆いていたが(笑)、確かにガルハンの奏でる音楽は、人懐っこいメロディーを軸に、抜群のポップセンス光る親しみやすい楽曲ばかりだ。そんな彼らの魅力かつバラエティーに富んだ楽曲をたっぷりと演奏しつつ、この日はワンマンならではのお楽しみも。それはガルハン初の試み、ヴォーカルのパートチェンジ。やはり自分のパート以外は歌いづらいようで、ビミョーな音程もご愛嬌(笑)。ファンもこの時ばかりは二人を見守るように観入っていた。

 「今日は本当に楽しいです! あとひと盛り上がりしてもよろしいですか?」と言って、ガルハンの楽曲の中でも疾走感ある熱いナンバーで一気に畳み掛けた。そして本編ラストを飾ったのは「ファンダメンタル」。ファンからの大きな拍手と歓声を受け、マスザワから最後に発せられた言葉は、「なんだよ、コレ!!」。本人達の予想を越える楽しさ&盛り上がりに思わず出てしまった言葉だったに違いない。
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 アンコールでは、小高芳太郎(from LUNKHEAD)が登場! ガルハンではお馴染み(?)のブルースリーの黄色いつなぎを着て現われ、場内からは歓声と同時に笑い声が(笑)。「文句は言わない」改め、「ランクは言わない」を熱唱し、大いに盛り上げた。鳴り止まないアンコールの拍手に予定外のダブルアンコールが行なわれたほど、ファイナルを飾るに相応しいステージだった。最新作『ドレミ=ファンダメンタルズ』収録曲はもちろんのこと、これまでにリリースした作品の中から万編なく選曲、活動歴6年の集大成とも言えるライヴを観せた彼ら。最後までパワー衰えないステージを展開し、観る者を一人残らず笑顔にした。

●取材・文/牧野りえ、撮影:川合 泉

⇒ザ・ガールハント オフィシャルサイト
by ex_musicmall | 2010-12-08 20:23 | ライヴレポート
小谷美紗子 / 毛皮のマリーズ / Jeepta / Qomolangma Tomato / 他〈2008/12/03掲載〉
2008/11/19@渋谷O-WEST
小谷美紗子 / 毛皮のマリーズ / Jeepta /
Qomolangma Tomato / The next! / MU-NYA
【LIVESTAR's FES Vol.6】


人気のライヴ企画第6弾は異色のキャスティング
小谷美紗子 / 毛皮のマリーズ / Jeepta / Qomolangma Tomato / 他〈2008/12/03掲載〉_e0197970_12362322.jpg
 第6回を迎えた今回の【LIVESTAR’s FES】は、ちょっと変わったキャスティング。毛皮のマリーズやQomolangma Tomatoといったドカドカバリバリのバンドが暴れるのは毎度のことながら、最後の最後に登場するのは孤高のシンガーソングライター小谷美紗子。しかも、いつものトリオではなく、ピアノの弾き語りでの登場なのだ。さて、今回はバンド達がどんなパフォーマンスを見せてくれるのか、そしてイベントのラストシーンには何が待ち受けているのか。わくわくしながらオープニングを迎えたのだった。

 まず最初に登場したのは、ガールズヴォーカル3ピースバンドのMU-NYA。いきなりギター&ヴォーカルの仲川がピンクのテレキャスターを轟音で鳴らして「Over the RAINBOW」を歌い出した。おそらく初めての大きなステージでプレッシャーがあったはずなのだが、思い切りのよいスタートだ。荒削りだが、しっかりと外に向かう音は、好感が持てる。オープニングアクトにふさわしい立ち上がりに惚れ惚れする。歌い終えて「どーも、おやすみなさい」と仲川。「ん? おやすみなさいにはまだ早いんじゃないの??」と思っていたら、2曲目のタイトルが「おやすみなさい。」だった。しかもこの曲、全然眠くない。ギターを細かく刻みながら、おおらかなメロディを仲川が歌う。そのメロディに、狩野が工夫を凝らしたベースラインでサポートする。が、コードを押さえる仲川の指のフォームが悪いのか、ギターのチューニングが気になったのが惜しかった。

 「どーも、ありがとう。MU-NYAです。今日は時間が短いですが、与えられた20分間、思いっ切りやります。もし明日、自分が死んだらと思って作った曲です」と前置きして歌った「時雨」が良かった。相変わらずギターの弾き方は乱暴だが、そんなことにおかまいなく突き進む仲川のヴォーカルに爽やかなパワーがあふれている。マイクに向かう左足がつま先立っているところに、歌いたいことをしっかり捉まえている彼女の気持ちが表われていた。
小谷美紗子 / 毛皮のマリーズ / Jeepta / Qomolangma Tomato / 他〈2008/12/03掲載〉_e0197970_12361056.jpg
 次のThe next! は、かなりクセモノ。シアトリカル(演劇的)なステージングで自分達の世界に観る者をぐいぐい引き込んでいく。先日も下北沢DaisyBarで彼らのライヴを観たのだが、思惑どおりオーディエンスを不思議な世界に引きずり込んでいた。また、このイベント直前のインタヴューでヴォーカル&ギターの小暮は、「体全部を使って表現しているから、ステージが高いほうがいい。足まで見えるでしょ。だからO-WESTは楽しみ」と語っていた。

 ギターの平野正哉はいつものようにアンガス・ヤング(AC/DC)ばりの半ズボンにブレザー&ネクタイ姿。手にはフライングVを抱えている。長身のサウスポー・ベーシスト黒沢法彦は、チビTにベルボトム。ドラムス建部貴之のTシャツには、マスクをしたナースがプリントされている。濃いメイクをほどこした小暮は、真赤なリボンタイを素肌に着けている。フロントの3人は裸足。まず小暮のギターがギャーンとフィードバックを起こす。しばらく放っておいて、メンバー同士がスタートする呼吸を探り、ドラムが鳴ると3人の裸足が飛び跳ねたのだった。

 前半は飛ばす飛ばす。ツインギターのリフで引っぱるポップチューンを立て続けに3曲。聴きやすいメロディと歌詞で、会場をぐいぐい先導していく。4曲目「ロードムービー」で小暮はギターを置いてマイクを手に取り、スタンドを蹴倒して怪しい世界への第一歩を踏み出した。オーディエンスは気付かないうちに The next!ワールドに引き込まれている。「最後の曲です」と小暮が叫んだのは、ライヴ開始からわずか12分後。なので、ほとんどの観客があっけに取られている。たたみかけるように「みなさん、心と体にお気をつけて」と小暮。大切な人への手紙を読み上げるように始まった「デッサン」に、会場はシーンと耳を澄ます。バックには平野のソフトなギターのアルペジオが流れている。センチメンタルでエキセントリックなThe next!の世界がこの時、渋谷に出現したのだった。

 あとはもう突っ走るだけ。「あの国の王様、この国の王様、連続殺人事件、テロ」などとつぶやき、さらに、「21世紀の小さな夜よ!」と突然叫び出す。スローテンポになったかと思うと、激しく速いビートへ。あっ、気がつけばこの一曲で13分が経っている。完全にThe next!ペースだ。たしかに小暮の言うように、ステージが高いほうがこの不可思議世界にはよく似合う。まだステージ全部を使い切れてはいないものの、また“高いステージ”でThe next!を観たいと思った。「作り物の世界で、あなたを待ってます」と言い残して、4人は帰っていった。
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 さて、Jeeptaは2ndミニ・アルバム『進化論』をリリースして只今全国ツアー中の伸び盛りのバンド。彼らの演奏力と表現力がどこまで成長を遂げているのか、興味津々でスタートを楽しみに待った。

 現われたJeeptaは、まずは一発、爆音を鳴らす。残る音の中で、ドラムス青木奈菜子がにっこり。続いてヴォーカル&ギター石井 卓がにっこり。どちらも今までステージでは観たことのないイキイキした表情だ。「こんばんは、Jeeptaです。よろしくお願いします」と石井。ライヴをするのが本当に嬉しそう。そう、これが彼らの成長のヒント。色んな場所で色んなオーディエンスの前で演奏してきたことで得た自信と緊張感が、バンドを開放している。

 choroのギターの超高速パッセージから、ダイナミックな「LOOP」が始まった。ベースのサトウヒロユキが、目に見えて腕を上げている。次の「フレグランス」で青木にもエンジンがかかり、一回りスケールの大きくなったグルーヴが会場を呑み込んでいく。4つ打ちビートなのだが、決して平板ではなく、ニュアンス豊かな16ビートが繰り出される。どんな速いテンポでも、どこか地に足が着いている感じがあるのが、Jeeptaの最大の特長だ。そんな持ち味が1stミニ・アルバムに入っていた「シナリオ」にも表われていた。

 「改めまして、Jeeptaです。僕達が大好きなこのイベントに、最多出場ということで嬉しいです。イベントのテーマ“ライヴにこそ真実がある”は、僕達も大切にしているキーワードです。ライヴスターになるつもりでやってます。自分達の音楽を信じながら、人の言葉も素直に受け入れる。この二つで成長していけたら素敵だなと思っています」と言って、「進化論」が始まった。Jeeptaの今を象徴する壮大なバラッドだ。<いつか見た川のように 真っ直ぐに また柔らかく>というフレーズが、文字どおりオーディエンスの心に素直に入っていく。以前のインタビューでメンバーは「進化論」を指して、「これが今の僕らの最高の作品」と口を揃えた。その言葉は、この日の演奏で証明された。前とは比べものにならない説得力があった。今回のツアーで培ってきた力をまざまざと見せつけられた。だから、続けて歌った「進化論」以前の代表曲「リコール」の成長した姿もすごかった。一触即発のスピードとスリルが最高潮に達した時、ライヴは終わった。
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 ふと気がつけば、会場はいつの間にか埋まっている。みんなが待っているのは、毛皮のマリーズだ。これまで「ポップなマリーズ」「ドロドロのマリーズ」など、さまざまな姿を見せてきたロックバンドが、またまたニュー・シングル「ビューティフル」で違う側面を出してきた。鋭くシニカルな視線をたっぷりのユーモアで包んであるから、大騒ぎしながら笑って踊って楽しめる。果たしてこの変身は何を意味するのか。今日のライヴで、この新曲をやってくれるのか。そんな想いにふけっていると、SEが流れ始めた。シャンソンの巨星エディット・ピアフの「愛の讃歌」だ。あー、ドキドキしてきたぞー。

 この痛快ロックバンドは4人編成。上半身裸のドラマー富士山富士夫、マッシュルームカットにレスポール・ゴールドトップを抱えた越川和磨、髪を後ろで一本に縛ったベーシスト栗本ヒロコ、そして上目づかいでオチャメなベストを着こなすヴォーカル志磨遼平。“ド”が付くほど正統派のライヴが始まる。富士山は基本的にはバスドラとスネアだけで一曲目「人生」を叩き切る。いっぽう志磨は右手を腰に当てて、細い体を激しく揺さぶりながら歌う。越川は両足をいっぱいに開いて踏ん張り、ギターを掻き鳴らす。栗本は背筋を伸ばして、淡々とベーシックに徹する。あまりにも潔いロックマナーだ。最初のピークは3曲目「ガンマン、生きて帰れ」だった。志磨がミック・ジャガーを彷彿とさせるアクションで、“エキサイト”をモチーフにアドリブで歌う。その間に<荒野を駆ける暴れ馬>という本来の歌詞を絶妙に混ぜ込む。2番目に出たThe next!が“夜に見る夢”だとしたら、毛皮のマリーズのそれは“白昼夢”。明るい日差しの下で、大好きな友達が連発するシュールなバッドジョークに腹を抱えて笑い転げるような快感が訪れる。

 そして「えー、新曲やります」と言って、いきなり「ビューティフル」が始まった。<私は人生複雑骨折 ドラマ型統合失調症>という出だしの歌詞をライヴで聴いた途端、もう一段強烈なマリーズの白昼夢に引きずり込まれた。先に音源を聴いてショックを受けていたが、ある意味、それ以上。志磨の突っぱねているようでいて人なつこいステージングが、この新曲の飄々としたメッセージを正確に伝える。<私は私より私と呼ぶべきガールと恋に落ち 涙が止まらない これが正義じゃなくてなんなのだ?>というフレーズに込められた、なんというユーモアとリアリティ! 志磨はスタンドごとマイクを客席に向け、こわもてのロックファッションの奥から優しい目でオーディエンスに笑いかける。最後の「ジャーニー」でドラムの富士山は椅子ごと後ろにひっくり返り、他のメンバーは彼をそのまま置き去りにして帰っていった。わははは、じゃーにー!!
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 ここまでくると、【LIVE STAR’s FES】はすでにロックイベントのめくるめく世界に突入している。エキサイトして上気した顔のオーディエンスの前に、すでに全開モードのQomolangma Tomatoが登場。ヴォーカルの石井が何やら叫ぶと、間髪入れず「Five senses-Five minutes」が始まった。すごい音圧だ。特にベースの山中のプレイの切れ具合がすごい。先日の代官山UNITでのワンマンライヴで機材トラブルに見舞われたギターの小倉も、今日は絶好調のようだ。しょっぱなから最高速を記録と思ったら、次の「商店街」がそれを上回る。我慢の効いたドラムス大工原のフィルが気持ちがいいほどのビートを繰り出す。

 それをまともに受けて、石井と小倉が吹き飛びそうになっている。石井はギターを持たずにハンドマイクでここまでパフォーマンスを鍛えてきた、最近では珍しいタイプのヴォーカリストだ。それだけに、彼の言葉の鋭さと到達力は抜群だ。圧倒的だったのは、4曲目に披露した新曲だった。荒んだビルの裏路地の描写から始まるこの歌は、一曲の中でリズムが次々に姿を変えて石井の心象を描きだす。みじめな姿で一人立ちつくしていても<淋しくはないさ>と石井が歌うと、それに応えてドラムとギターが激しくバトルを繰り返す。

 Qomolangma Tomatoが提示するのは、孤独を乗り越えるために一人一人が自分の音楽を磨いてぶつけ合うロックバンドの姿そのものだ。最後の「359°は捨てる」を歌う前に石井が言った<たったひとつのイメージに頼る。359°は捨てる>という言葉に、ひたすら音楽に集中する彼らの心意気を受け取った。
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 さて、イベントがいよいよクライマックスに達したところで、ステージ上の楽器やアンプがすべて取り払われて、グランドピアノが一台セットされる。激流にたたずむ大きな岩のオブジェのようだ。この異様な展開に、会場を去る人はほとんどいない。間もなく、小谷美紗子がステージに入ってくる。赤いハイヒールを脱ぎ捨ててピアノの前に座り、しばらく自由にピアノを弾いた後、鍵盤に両手を置いて残響を隅々までチェックするように鳴らしっぱなしにする。彼女がその音に耳を澄ませるのにならうように、会場は一瞬にしてシーンとなった。

 <森に隠れてあなたを見てた>と始まる一曲目「生けどりの花」は、悲しい歌。動けない花の、好きな誰かに気付いてほしいという想いを歌ったものだ。そのシチュエーションの意外さと、誰でも共感できる切なさとで、オーディエンスは金縛りにあったように動かない。さっきまでのバンドとは正反対のサウンド。しかし、歌詞は最強のロックバンドに匹敵するほどのシャープさだ。次の曲「Out」はピアノの表現力がさらに増して、10本の指によるアンサンブルは、それぞれがバンドのメンバーのように闘い、協調し合っている。何より小谷のヴォーカルが素晴らしい。ほとんどリバーヴがかかっていないのに、O-WEST全体に響き渡り、聴く人を包み込む。ひと息で歌うフレーズも、信じられないほど長くて、彼女が歌に込める深い想いを的確に伝えてくれたのだった。

 「こんばんは、小谷美紗子です。今日は他の出演者の方がいっぱい楽器があるのに、私は弾き語り。ちょっとアウェーなこういうイベント、好きです。そんなアウェーなステージが待ち遠しくて、興奮してます。そんなに興奮してるように見えないかもしれませんが、でも興奮してます。それが残ってくれたお客さんに届けばいいなと思います」。小谷は実際、イースタンユースや凛として時雨などのロックバンド中のロックバンドとこれまでジョイントライヴを成功させてきた。その成功は、見かけのスタイルや音楽性を越えた彼女の音楽に対する姿勢によるということが、たった2曲で会場に伝わってしまった。また、彼女が「興奮してる」と何度も言ったのは、我々“エキサイト”にかけて言ってくれたのかもしれないと思って、思わず微笑んでしまった。圧巻は「最後にお疲れ様の気持ちを込めて、思いやりをみんなに届けたい」と言って歌ったラストナンバー「手紙」だった。ピアノ弾き語りならではのバラッドで、いたわりを込めながらもこの世の赤裸々な真実を描く。<大事なことは痛みの中>というフレーズに涙を流すオーディエンスを、僕はたくさん観たのだった。

 今回の【LIVE STAR’s FES】はこれまでのものとは少し違っていたが、音楽の素晴らしさがこれまで以上に会場を満たしていた。“静”と“動”がガチでぶつかって、まるで最高の心のマッサージを受けた気分だった。
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●取材・文/平山雄一、撮影:ジョン・チーズバーガー

⇒Jeepta オフィシャルサイト
⇒Jeepta 自主制作盤シングル『リコール』インタビュー
⇒毛皮のマリーズ オフィシャルサイト
⇒毛皮のマリーズ メジャー・デビュー・アルバム『毛皮のマリーズ』インタビュー
⇒毛皮のマリーズ DOUBLE A-SIDE SINGLE『ビューティフル / 愛する or die』『毛皮のマリーズ』インタビュー
⇒毛皮のマリーズ 1stミニ・アルバム『Faust C.D.』インタビュー
⇒Qomolangma Tomato オフィシャルサイト
⇒小谷美紗子 オフィシャルサイト
⇒小谷美紗子 ミニ・アルバム『ことの は』インタビュー
⇒【小谷美紗子 vs 凛として時雨】ライヴレポート
by ex_musicmall | 2010-12-08 19:42 | ライヴレポート
小谷美紗子〈2008/11/12掲載〉
2008/10/28@新宿LOFT
【「Odani Misako Trio」レコード発売ライヴ】


各々が心の中で呼応し、自分を投影させた、珠玉のワンマンライヴ
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 “包まれる”“飲まれる”“浸される”。小谷美紗子トリオのライヴは、まさに曲ごとに支配されていく自分と向き合い、分かち合い、時に心で分かり合う、そんなライヴだった。主だったコミュニケーションもなく、しかし心のどこかではしっかりとつながっている。一方的に次から次に放たれる、メロディに乗せられた、在りしの自分やいつかの自分、いつの日かの自分。この日会場に詰め掛けた多くのファンは、そんな彼女の放つ歌に、心の中で呼応し、自分を投影させていた。

 シンガーソングライター、小谷美紗子(P.,&Vo.)を中心に、ベースに山口寛雄、ドラムに玉田豊夢による3人編成の小谷美紗子トリオ。8月27日に発売した、その小谷美紗子トリオを一つにまとめたベスト・アルバム『Odani Misako Trio』のレコ発ライヴとなったこの日の新宿LOFTは、まさにベスト的な内容への期待感もあり、平日にもかかわらず満員だった。開始予定時刻ほぼ定刻。SEもなく小谷、玉田、山口の3人がふらっとステージに現われる。いつものごとくトライアングルに向かい合い、スタンバイする三者。力強いフロアタムが打ち鳴らされ、そこにファットなベースが絡み、その上にピアノと小谷の歌が乗り、1曲目の「Rum&Ginger」からグイッと世界観に引き込む。続いてギターのような音色のベースのイントロから、2曲目の「Who」に突入。リズム隊が主導だった1曲目に対し、こちらはピアノが優雅に泳ぎ回る。ほのかな上昇感も心地よい。

 ドライヴ感のある伸びやかな曲が続く。3曲目は、ラストに向かうにつれ段々と広がりを増していくナンバー「You」だ。ベースのコーラスも加わり、世界観にバリエーションを加えた。ここでMC。ゲストが登場する。小谷とは、10年来の友人であるという、bloodthirsty butchers/toddleの田渕ひさ子が、ゲスト・ギタリストとしてステージに現われる。突然のサプライズを驚きと歓迎で迎える会場。まずは、「照れるような光」に田渕が参加していたこともあり、同曲を初めてレコーディング時の形態でプレイされた。ガリンガリンでささくれだった田渕の歪んだギターが加わり、さらにサウンドにバリエーションが加わる。そのままエレガントなピアノのイントロに絡むフィードバックを交えたディストーションギター、その向こうから聴こえる小谷の歌が飛び出す。「雨音呟く」だ。歌が神々しく響き、朝日が昇っていくような印象のある同曲は、どことなく明日を信じさせてくれ、自分にも喝が入った。
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 続いて、どろっとした世界観が突如として聞き手全員を包み込む。浄化を求める怨念のように響く「まだ赤い」だ。グイグイと聴き手の魂までも引き込んでくる。うーん、これに対峙するにはかなりのパワーが必要だ。あとは僕も周りのお客さん同様、身も心も任せてみることにする。MCを挟み、ライヴでは何度かプレイしてきたが、まだ作品化されていない楽曲「青さ」を披露。ほのかなよろこびや生命感をヒシヒシと感じ、ここまでには無かった明るさを有している同曲。まさに真冬にひまわりを見つけた気持ちになり、なんだか救われた気分になった。嬉しくなるほど良い曲なので、作品化も非常に楽しみだ。

 ここで、ここまでギターを弾いていた田渕がはける。彼女にまつわる想い出を語ったあと、出来たばかりの新曲がプレイされる。ほとんど出来立てで、初めて演るという。その命とも言える歌詞がステージの照明では見づらかったらしく、イントロ後一度中断。再度やり直しが行なわれる。それだけ、この曲の歌詞にかける想いも強いのだろう。別れ際の強がりや背中が歌われた同曲。歌の主人公の本心を知っているだけに切ない。いやー、けなげだ……。
 
 続いて、ガラッと会場中の色を変えるように、躍動感のある曲が響き渡る。「How」だ。歌ももちろんだが、三者の変拍子も交えたグルーヴ感は圧巻。そして、怒濤のドラムソロから、いつもはライヴでラストに披露される「消えろ」が始まる。作品全体的に漂うアグレッシヴさと突如入る歌とピアノだけになる箇所。そこに言いようのない美しさを感じたのは私だけではなかったはずだ。ラストはいつものごとくアヴァンギャルドに激走していった。
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 ここでゲスト2人目が登場。小谷が"他人のために歌をつくるのは止め、今後は自分の身近な者のためだけに歌を作り続けていこう"と決意した矢先、それを再びみんなの下に引き戻してくれた恩人的な存在と語る、eastern youthのヴォーカル&ギターの吉野 寿がステージに呼び込まれた。新たなるサプライズに驚喜する会場。吉野がステージに現われるも、やたら緊張しているようで、それが彼に似合わず妙に可愛かった(笑)。そして、そのeastern youthの企画イベントから派生したコンピ盤『極東最前線2』にも収録されていた、「東京」の小谷&吉野バージョンが始まった。吉野のノイジーなギターが会場中に響き渡り、小谷&吉野によるデュエット部も飛び出す。作品以上の温かくもずっしり感を会場中に与えてくれたのだった。そして、本編ラストは、吉野のカタストロフィー的なギターが鳴り響く中、「音」が現われた。小谷の伸びやかな歌声に心が洗われる。アウトロでの荘厳さと音の壁には、カタルシスさえ感じた。

 アンコールに応え、再度登場する三者。「あまり力が残っていないので、ラストはしっとりと演るので、聴いてください」とのMCの後、しっとりと「手紙」を弾き語り+αのスタイルでプレイ。ラストに歌われた「だって、あなたを信じているのだから」のフレーズに多くの者が胸を響かせていたに違いない。

 まさに、曲ごとに自分が支配されていくのが分かりつつも、しまいには完全に感受性のなすがままにさせられた、この日のライヴ。ライヴが終わり、ぼんやりとしながらも、口数少なく出口へ向かうお客さん達を見て。"ああ、やっぱりみんなそうだったんだな……"と改めて気づいた。

●取材・文/池田スカオ和宏、撮影:川合 泉

⇒小谷美紗子 オフィシャルサイト
⇒小谷美紗子 ミニ・アルバム『ことの は』インタビュー
by ex_musicmall | 2010-12-08 12:10 | ライヴレポート


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