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3.タイニー・パンク
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<Podcastインタビュー>
平山雄一の「ライヴハウス虎の穴」

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AJISAI〈2007/08/09掲載〉
2007/08/09@新宿RUIDO K4
AJISAI 【the Bouncing Soup Show 2007】


AJISAIというバンドの存在理由を再確認したステージ

AJISAI〈2007/08/09掲載〉_e0197970_14545641.jpg
 「持てるもの全て注ぎ込みました。僕らはこのアルバムに人生賭けています」と、ヴォーカル松本がその決意のほどを表明した1stアルバム『sunny umbrella』。その言葉の通り、この『sunny umbrella』はAJISAIのターニングポイントとなる作品に仕上がった。その最高傑作を引っさげて、彼らはリリースのひと月前より関東ツアーを、そして8月1日のアルバム・リリースを経て全国ツアーへと旅立った。その数、3ヶ月で27本。3日に1本というハイペースでのツアーだ。この日のライヴは、翌日の水戸ライトハウスを皮切りにスタートする全国ツアーに向けての前哨戦とも言える、彼ら自身による企画イベントとなった。

 トリに登場した彼らは、1曲目にニュー・アルバムより「桜並木」を披露。囁くような松本の優しい歌声が、次第に熱を帯びたものに変わる。「桜」という日本を象徴する花の名前を冠したこの曲は、日本語の美しさを伝えたいという彼らの想いが結実した曲。松本の説得力のある歌声が、会場の空気を引き締める。須江のエフェクティヴなギター・サウンドが特徴の「送信エラー」は、ダンサブルな要素も持ったナンバー。続く「アンバランス」でも須江の冴えたギター・プレイは光り、曲の流れの中での目立ちすぎないギター・ソロには、彼のセンスの良さを感じた。

 「疲れて、もう音楽辞めちゃおうかなって思ったところに、親から“大丈夫か?”というメールが来て、強がって“大丈夫だよ”と返信をする」と、そんなエピソードに次いで演奏された「手紙」は、何かしらの決意を胸に上京した者には響く歌だろう。そして本編ラストに演奏されたのは、AJISAI第二章の始まりを感じさせる「アイコトバ」。無駄なものをそぎ落とし、必要最低限の音で静かに幕を開けるこの曲は、AJISAIの包容力を感じさせるもの。ステージでは若干の消化不良を否めないところもあったものの、彼らの心意気は充分に感じ取ることができた。そして、翌日からスタートするツアーへの意気込みをアンコールで「未来」に託し、全9曲のステージは終了した。
AJISAI〈2007/08/09掲載〉_e0197970_1455893.jpg

 本編中盤で演奏された「とびら」で、とても印象的な光景を目にした。一人の女の子が、目をつむり、歌詞を口ずさんでいる。そして曲が終わると同時に開いたその目には、涙があふれていた……。AJISAIの楽曲には郷愁感をともなうものが多い。ノスタルジックで温かく、我々の日常に寄り添うように彼らの歌は存在している。彼女も、AJISAIの歌を心の支えに日々を過ごしているのだろう。年間100本、ライヴをやって移動して、またライヴといった日々を続けていると、「いったい僕らは何のために音楽を続けているんだろう」と、ふと不安に思うこともあるかもしれない。松本がMC で「もう音楽辞めちゃおうかなって思った~」と語ったように、弱気になることもあるだろう。だが、彼らには音楽をやり続ける理由がある。涙した彼女と、生き生きとした表情でステージに立つ4人の姿を見て、AJISAIというバンドの存在理由を再確認した。

●取材・文/田上知枝、撮影/東京神父

⇒AJISAI 2ndミニ・アルバム『キミスキセツ』インタビュー
⇒AJISAI 2ndアルバム『sayonara terminal』インタビュー
⇒AJISAI オフィシャルサイト
by ex_musicmall | 2010-10-28 14:57 | ライヴレポート
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