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平山雄一の「ライヴハウス虎の穴」

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the pillows〈2007/07/19掲載〉
2007/07/19@Shibuya O-EAST
【the pillows Wake Up! TOUR】


18年のキャリアを誇る彼らの嬉しい驚きがたくさんあったライヴ

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 the pillowsは、ギターロックの魅力のすべてを備えているバンドだ。ビート最優先のすっきりしたアンサンブル。両足を踏ん張って、ギターをマシンガンのように構える。その一瞬後に、高くジャンプするカッコいいアクション。シンプルにしてパワフルというギター・バンドの正攻法を、the pillowsはデビュー以来キープし続けてきた。

 ステージ後方の壁に吊られたフラッグには“since1989”の文字。18年のキャリアを誇るthe pillowsの【Wake up! Tour】序盤のライヴには、嬉しい驚きがたくさんあった。ステージに4人が登場すると、会場は一気に爆発寸前にまで盛り上がる。が、バンドは慌てない。真鍋が単音のギター・リフを淡々と弾き始める。「淡々と」といっても、客席の熱気に水を差すわけではない。爆発しそうなオーディエンスの熱気を、一定方向に導くかのようなリフだ。これから始まるバンドと客席のコミュニケーションがスムーズに運ぶように、観客をまとめていく。「こんなことがギター一本でできるなんて」と、まず驚かされた。すかさず真鍋のギターに山中のギターが絡み、ドラムの佐藤とベースの鈴木が加わって、ライヴが始まった。

 ステディなダウンビートでじっくりオーディエンスを盛り上げていく。「久しぶり!」と山中が話し出す。「今回のツアーはどの街でも楽しくやれてるよ。今夜もよろしく!」。次の曲のイントロが始まって、歌い出す直前、山中が鮮やかなジャンプを決めた。ピットからゴーサインが出たレーサーのように、バンドが猛然とダッシュする。山中と真鍋のギター合わせて12本の弦が、色彩感豊かな和音を構成する。ギター・バンドの理想のサウンドだ。一方で、佐藤のドラムは決めるところはビシッと決めているのだが、必要以上の力は入っていない。グルーヴがとても軽快。とっくにベテランの域に到達しているのに、バンドとしての印象はきわめてフレッシュというthe pillowsの魔法に、また驚かされた。
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 「今日のO-EASTも、最終日のZeppもアッという間に売り切れ。何か、おかしなことになってるぞ(笑)。色んな音楽が溢れる中、the pillowsが好きで好きでたまらないという変わり者の君達に、感謝を込めて贈ります。『BOAT HOUSE』!」。嬉しいプレゼントにオーディエンスも歌いまくる。モッシュやダイブは起こらないけれど、すさまじい一体感がO-EASTを埋め尽くす。
「このツアーはステージ以外も調子が良くて、ホテルでもう5曲、新曲を作った」と山中が言うと、客席から「天才!!」の声が掛かる。「そんなの、自分で分かってる(笑)。次のアルバムは絶対いい!」。自信満々の傑作アルバム予告宣言が飛び出した。

 後半はビートも盛り上がりも加速。一曲一曲が短いthe pillowsナンバーが効を奏して、素晴らしいスピード感をキープしたまま、本編が終了。
アンコールは8月15日リリースのニュー・シングル「Ladybird girl」を中心に、さらにヒートアップ。フロントの3人がギターとベースを捧げ持ったまま演奏するなど、ユーモアも余裕もたっぷりだ。汗びっしょりでメンバーが引き上げ、終演のBGMが流れても、大きな拍手が鳴り止まない。と、メンバーが再度、登場した。「お前ら、もう帰れ!(笑)」。オマケとしてthe pillowsは心に沁みるミディアム・バラッドを歌ったのだった。

 ひたすらギター・ロックの最前線を走ってきたバンドは、歌詞がしっかり届くようになって、彼らの先祖であるザ・ジャムやストラングラーズなどのバンドの存在感に近づいていると感じた。また、真鍋は白のレスポール・スペシャル一本でステージを通した。山中も白のフェンダー・サイクロン一本。その潔さに驚いた。やっぱりthe pillowsは最高のギター・バンドだ。
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 終演後、楽屋を訪ねた。じつは僕が山中くんに初めて会ったのは、20年くらい前。札幌のストリート・スライダーズのライヴの楽屋だった。まだ高校生だった山中くんは、当時、最高にスリリングな2ギターの絡みを聴かせるスライダーズのライヴを小樽から観に来ていたのだった。そんな懐かしい話をしながら、「ツアー、楽しそうだね」と言うと、「楽しいですよ」と山中くん。「前はステージでほとんど喋らなかったのに、MC、上手くなったね」「カンベンしてくださいよ(笑)」「それに、the pillows大ブレイクの予感を、初めて感じた」「僕ら、ずっと、大ブレイク狙ってきたんですけど(大笑)」。

 自信とキャリアに裏打ちされた明るさが、ステージにも楽屋にも溢れている。おそらくthe pillowsのヒストリーの中で屈指の出来となりそうな【Wake up! Tour】は、秋まで続く。

●取材・文/平山雄一

⇒the pillows オフィシャルサイト
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by ex_musicmall | 2010-10-28 13:56 | ライヴレポート
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